ランナー膝 別名:腸脛靱帯炎
腸脛靱帯炎の主因はオーバーユース。過剰なランニング時間と距離には十分注意しよう
ランナー膝はランニングによる膝関節周辺のスポーツ障害の総称で、さまざまな病態が含まれます。
原因・発症のメカニズム
腸脛靱帯炎はランニングによる膝障害の代表です。原因は膝の屈伸運動を繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外顆〈がいか〉と接触(こすれる)して炎症(滑膜炎)を起こし、疼痛が発生します。
特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します(ほかにバスケットボール、水泳、自転車、エアロビクス、バレエ等)。
発生の要因はオーバーユースです。
過剰なランニング時間と距離、柔軟性不足(ウォームアップ不足)、休養不足、硬い路面や下り坂、硬いシューズ、下肢アライメント(内反膝)など、さまざまな要因が加味されています。
症状
大腿骨外顆周辺に限って圧痛が存在します。
腸脛靱帯は明らかに緊張が増し、時に靱帯の走行に沿って疼痛が放散します。
初期はランニング後に痛みが発生しますが、休むと消失します。
しかし、ランニングを続けていると次第に疼痛は増強して、簡単に消失しなくなってきます。
診断
膝外側の圧痛、運動時痛。症状の誘発方法(徒手検査法)として、膝を90度屈曲して外顆部で腸脛靱帯を押さえてから膝を伸展していくと、疼痛が誘発されるgrasping testが有用です。
レントゲンでは著明な変化はありません。MRIでも特徴的な所見はありません。
鑑別疾患
膝関節外側部での疼痛を主症状とする、外側半月板損傷との鑑別が必要です。
類似疾患
膝内側で同様の症状がランニングなどで起こる場合があります。鵞足炎と言い、やはりオーバーユースが原因です。
施術
オーバーユースのため保存療法が原則です。
第1に局所の安静、つまり、ランニングの休止が重要です。
次に、大腿筋膜張筋など股関節外側部を主としたストレッチの強化。
アイシングを徹底します。
超音波などの物理療法を行います。
いったん症状が出現すると、簡単には消失しないので発症初期の決断、適切な休養期間が大切です。
同一側の膝の負担を軽くする目的で、たまには普段と反対回りのトラック走行も取り入れてください。
体の柔軟性や下肢のアライメント、シューズやトラックのサーフェースのチェックなどを行ってください。
腸脛靱帯炎はオーバーユース症候群であり、「使いすぎ」が原因です。
走る量(スピード、距離)が、現在の体力が耐えられなくなった場合や、疲労回復が十分でない状態で走ることを繰り返してしまった場合、またフォームに癖があったり、路面が硬かったり、シューズが適切でなかったりした場合に負担が集中し、その影響で関係する関節に負担がかかり、痛みを発します。
これらは1つの原因だけで起こるわけではありません。
したがって、総合的に考慮したトレーニング、競技復帰に向けたトレーニングプログラムを考える必要があります。
トレーニングの効果は、疲労が十分に回復されてから現れます。
トレーニングが多くなれば、疲労回復のためのストレッチングや栄養の摂取、睡眠などリカバリーにかける時間も増やして行く事が予防策で一番大切な事です。
理想的なランニングフォームを習得し、必要であればサポーターやインソールなどを利用して、身体にかかる負担を軽減させる事が必要です。
特に外転筋群の働きが弱い場合に、遊脚側の腰が落ちてしまい、その影響で着地側の脚の股関節外側への余分な動きが発生し、負担を増やすことが多いようです。
走るだけではなく、股関節の筋肉が十分に力を発揮し、前後だけでなく、内、外への働き、捻る動きがスムーズに行われるようにエクササイズを行う必要があります。
現場評価・応急処置
ランナー膝はランニング時、ランニング後の膝外側の痛みを伴います。
最初は弱い痛み、違和感ですが、対応をせずにトレーニングを継続すると痛みは強くなります。ある一定の距離を走ったときに疼が出現するのが特徴です。
腸脛靭帯炎が疑われた場合は、トレーニングを減らす。または、中止して、アイシングを継続して行ってください。
まとめ
症状に悩んでいる選手はお気軽にお問い合わせください。
しっかりとした対応は勿論、今後の症状が出ないようにすることが大きな必要性となります。
あきらめかけたその痛みお気軽にお問い合わせください。